二学期が始まった。
俺が強引に奏葉にキスしてしまった日から、彼女との関係はずっと気まずいままだった。
家の中で話しかけようと思っても、なぜか春陽が俺と奏葉の間に入ってきて、二人で話をする機会がない。
尤も、二人になっても奏葉は俺を避けていたし、学校に行くときも声を掛ける隙なんてなかった。
夏休みの終わりに奏葉が蒔田と一緒にバイクで家に帰ってきた日、俺はキスしたことを彼女に謝らないと決めた。
奏葉が蒔田と付き合うなんて俺は絶対認めないし、それに彼女のことが好きだと気付いたからだ。
だけど、好きだと気付いたからこそ奏葉と気まずくなっている今の状況や、彼女に避けられることが辛かった。
「そんなに好きならさ、すれば?告白」
新学期が始まって数日が過ぎた放課後。
俺が教室で悩んでいると、拓馬が軽い口調でそう言った。