私達は二時間ぐらいある映画を見たあと、街中をぶらぶらと歩いて、疲れた頃に喫茶店で休憩した。

蒔田は歩くスピードとか何をしたいかとか、私をかなり気遣ってくれる。


喫茶店でお茶を飲みながら、私はふと真宏と二人で遊園地に行ったときのことを思い出した。


あのときはジェットコースターに乗せられたり、お化け屋敷に入らされたり……

真宏は私のことにはお構いなしで、散々だった。

無意識に真宏と蒔田を比べてしまっている自分がいて、はっとする。

私は思い浮かんだ真宏の顔を掻き消すように、小さく首を振った。


「月島さん?」

それを見た蒔田が、不思議そうな顔で首を傾げる。


「どうかした?」

蒔田に問われて、私は笑って首を振った。


「なんでもない」

私がそう言うと、蒔田はにっこりと笑った。