☆☆☆


翌朝、私は服を着替えると部屋のドアを少しだけ開いた。

廊下に誰もいないか、外の様子を伺う。


昨夜のことがあって、家にいても落ち着かない。

両隣の部屋には真宏と春陽がいる。


夜になるまでどこかで時間を潰すのが得策だと考えた。


今、二階の廊下には誰もいない。

そっと部屋から抜け出そうとすると、左隣の部屋のドアが開き、そこから真宏が顔を出した。

驚いてその場に固まってしまった私と、寝ぼけ眼を擦っていた真宏の目がばっちりと合う。


「あ……」

私が口をパクパクとさせていると、真宏が気まずそうに苦笑いした。


「そわ……おはよう」

真宏に話しかけられ、無言で頷く。

真宏は固まって動けずにいる私をじっと見つめ、それから困ったように寝癖のついたままの髪をくしゃりと掻いた。


「あ、あのさ……」

しばらくくしゃくしゃと髪を掻いたあと、真宏が遠慮がちに私に話しかけてくる。