何とか説明をしようと口を開いた奏葉を見て、春陽が何度も小さく首を振る。
そして、泣きそうな顔で奏葉を見ながら掠れた声を出した。
「お姉ちゃん……何してんの?」
春陽は、俺ではなく奏葉を責めるように見つめていた。
「最低」
春陽が低い声でつぶやく。
そしてすぐに俺達に背を向けると、乱暴にドアを閉めて部屋から出て行った。
「ちょ……春陽!待って!!」
出て行った春陽を追いかけようと、奏葉が俺を押しのけるようにして立ち上がる。
俺は立ち上がった奏葉の腕を掴んで引き戻した。
「待てよ。俺との話、まだ終わってないだろ」
そう言った俺を、奏葉が睨むように見つめる。
「あんたと話すことなんて、何もない」
「俺にはあるんだよ」
俺はまだ胸に残っている苛立ちをぶちまけるように奏葉の身体を強引に引き寄せて抱きしめた。
そして彼女の唇に自分の唇を寄せる。