想像よりもずっと柔らかな奏葉の唇に吸い寄せられるように、角度を変えながら何度もキスをする。
貪るように奏葉に口付けながら、これは蒔田に対する完全なる嫉妬で、俺は彼女のことが好きなのだとはっきりと自覚した。
蒔田が奏葉と付き合ってるのだとしたら、俺は何としてでもあいつから彼女を奪い取りたかった。
奏葉は俺から逃れようと、俺は彼女を逃すまいともがいていると、背後で部屋のドアが開く音がした。
「お姉ちゃん、何してるの?さっきからうるさ――……」
寝ぼけたような春陽の声が聞こえた。
そして次に、絶句して息を飲む音。
俺が奏葉を押さえつけたままゆっくりと振り返ると、そこには口に手の平をあて、目を大きく見開いた春陽が呆然と立ち尽くしていた。
驚きすぎて何も言うことができない。
春陽がそういう表情で俺と奏葉を見つめる。
春陽に見つめられて、奏葉を押さえつけていた俺の力が緩んだ。
その瞬間を見計らって、奏葉が身体を起こす。
「春陽、違うの……」