「入学式に出るのが楽しみだ」、「それまでに元気にならない」と、笑ってはしゃぐママの顔を見ると、私も嬉しかった。
だからママが亡くなったとき、私は今の高校を目指して勉強する目的そのものを失ってしまった。
ママを亡くした直後は、それまで必死でしていた勉強を全くやらなくなった。
でも少し経って、目前に控えた期末テストの勉強をカタチばかりでもしておこうと机に向かったとき、難しい問題を解いているとママを失った哀しみをしばらくの間遠ざけられることに気がついた。
それからまた、私は必死で勉強を始めた。
そのおかげで自然と結果がついてきて、私は今の高校に入学できた。
でも、ママを亡くした私にはそのことになんの喜びも感じなかった。
ただ何となく高校に通って、哀しみを遠ざけるために今までのように勉強を続けた。
だけど今夜、蒔田と話をして、ほんの少し私の向かう道が見えた気がする。
きっとママは、私が進む道を笑顔で見守ってくれる。
私は空を見上げながら、どこかで瞬いているはずの“ママの星”を想った。