「委員長は進路とか決めてるの?」

「うん、一応はね。実は医学部に行きたくて……今の成績だったら浪人覚悟だけど、来年は理系クラスに進もうと思ってる」

「へぇ、そうなんだ!委員長、成績優秀だもんね」

感心していると、蒔田が恥ずかしそうに笑った。


「そうでもないよ。月島さんは?何か考えてる?」

蒔田に問われ、私はちらりと空に視線を向けた。


「私は……」


今まで誰にも話したことのない進路。

うちの高校は中学時代頑張って勉強して入学した進学校だ。

せっかくそこに在籍できたのだから、できることなら大学に行きたいという希望はある。

でも、どの大学がいいとかどの学部で学びたいとかそういう具体的なことはまだ決まっていない。

だけど、割と現実主義な私は、大学に行くなら将来的に役に立つ学部を選ぶ方がいいと思っていて。

自分の進路に関する選択肢として消してきた密かな希望がひとつだけある。