さっきまで空で繰り広げられていた天体ショーは終わり、静けさが戻っていた。
「流れ星に願い事はできた?」
静かになった空を見上げていると、蒔田にそんなことを尋ねられた。
蒔田の方へ顔を向けた私は、困った表情で首を傾げる。
「願い事かぁ……委員長は?」
問い返すと、蒔田はにっこりと笑った。
「三回続けては言えなかったけど、心の中でいろんな星に何度も願ったよ」
「そう」
蒔田の笑顔を見て、私もつられてほほ笑み返す。
それから、蒔田から少し視線をそらして遠くの方を見つめた。
「私の願い事は流れ星には叶えられそうもないだろうな」
ぽつりとつぶやいて、唇の片側をあげながら自嘲気味に笑う。
「そんなに難しい願い事なの?」
蒔田が私を見て眉根を寄せる。
「たぶんね」
私は蒔田を見返すと、肩を竦めて苦く笑った。