「言っとくけど、女の子乗せるのは月島さんが初めてだから」
「え……何?」
前から委員長の声が聞こえたけど、風の音が大きくてよく聞こえなかった。
気になって問い返すと、「なんでもないよ!」と、今度は大きな声で蒔田が言った。
蒔田がバイクで連れてきてくれた場所は、周りに街灯の少ない広いグラウンドだった。
私たちがそこに着くと、既にそこに来ていた他の部員たちが蒔田に手を振ってきた。
そこに集まっていた部員は、男女含めて五人。
グラウンドの真ん中には一台の天体望遠鏡が設置されていた。
それから、みんなが座れるように大きなビニールシートも敷かれている。
私が夏休みに入る前天文部の部室に行ったときに、蒔田をからかっていた後輩の男子が望遠鏡のピントを合わせていた。
私は蒔田や天文部の部員たちと、望遠鏡をのぞいたり星の動きを観察したりしてそのグラウンドで三時間くらい過ごした。