「これ、委員長の?」
蒔田の傍に止まっているバイクを私がまじまじと見ていると、彼が照れくさそうに笑いながら私にヘルメットを差し出した。
「そんなに見るほどいいもんでもないよ?」
「自分で買ったの?」
私が顔を上げると、蒔田はバイクに跨りながらエンジンをかけた。
「いや、兄貴のおさがり。それより、後ろ乗って」
私は蒔田に手渡されたヘルメットを被ると、こわごわ彼の後ろに跨った。
「後ろ乗ったことある?」
後ろに座った私を振り返りながら、蒔田が小さく首を傾げる。
ぶんぶんと首を横に振ると、蒔田が私の手をひっぱって自分の腰を掴ませた。
「安全に行くけど、ちゃんとつかまっててね」
蒔田に言われ、緊張気味に彼の腰に掴まる。
走り出した瞬間はドキドキと心臓がものすごい音を立てていたけど、進むにつれてそれも少しずつ平気になった。