「そわ、入るぞ」
数回ドアをノックしたあと、私の了解を得る前に真宏が勝手に部屋のドアを開ける。
ドアを開けて入ってきた真宏と、蒔田と電話で話している私の目が合う。
「あ、電話中?」
真宏は私と目が合うと、気まずそうに小声で言った。
「じゃぁ、また。うん、明後日」
私はそう言うと、真宏を気にしながら電話を切った。
「遊びの約束?」
真宏が首を傾げ、私に近づいてくる。
私は机の上に広げていた日程表を急いで折りたたむと、スクールバッグに入れた。
「何か隠した?」
真宏が私の顔を窺うようにじっと見てくる。
私は首を振ると、話題をそらそうとした。
「別に。それより何の用?」
真宏は訝しげに私をじっと見つめたあと、口を開いた。
「メシだから呼びに来た」
真宏の言葉に眉を顰める。
「は?その程度で部屋の中まで入ってこないでよ」
強い口調でそう言うと、真宏がしかめ面になった。
「なんだよ、その言い方。ムカつく女だな」