「は!?何すんのよ?」

だが案の定、俺の指は奏葉の手によって乱暴に払いのけられる。

俺は小さくため息をつくと、苦笑した。


「さっきみたいに、いつも笑ってればいいのに」

「え?」

奏葉が俺を見上げてきょとんとする。


「俺はそわのしかめっ面より、笑ってる顔の方が見たいけど」

奏葉があまりにぼんやりとした顔で俺を見上げてくるから、ついよく考えないままにそんなことを口走ってしまう。

すぐに自分の言った言葉のきわどさに気付いた俺は、はっとして慌てて口を塞いだ。

ひとりで勝手に赤面する俺を、奏葉はやっぱりきょとんとした顔で見上げてくる。


「次何乗る?」

奏葉が気づいていないみたいだったから、俺はごまかすようにそう言った。


「あぁ、次ね」

奏葉の視線が俺から反れて、遊園地のガイドマップへと落ちていく。

俺は少しほっとしながら、次に乗るアトラクションを探す奏葉の横顔を見つめた。