絶叫系の乗り物は苦手でもこの程度なら平気らしく、奏葉が遊園地に入って初めて少し笑った。
奏葉の笑顔を見ると嬉しくて、調子に乗ってハンドルを回しすぎた俺は降りてから少しだけ気持ちが悪かった。
コーヒーカップから降りた奏葉は、さっきまでよりも少しだけ機嫌がよくなっていた。
「次は何乗るの?」
隣に並ぶ俺を見上げ、自分から尋ねてくる。
俺は遊園地をぐるりと見回したあと、真ん中にある大きな乗り物を指差した。
「あれは?」
俺が指差した方を見て、奏葉が眉を顰める。
「観覧車?」
「そう」
俺はポケットの中に入れていた割引券を奏葉の前でひらひらと揺すった。
「せっかくこれもらったし」
「でもそれってカップルが割引になるっていう……」
「そんなの拘ってるの、そわだけだから」
俺は腑に落ちない表情を浮かべている奏葉の手を掴んだ。