俺はお化け屋敷から出てもまだ少し強張っている奏葉の横顔を見て、彼女に気づかれないようにそっと笑った。

ジェットコースターを降りたあと青ざめている奏葉の顔を見て、彼女が絶叫系の乗り物が苦手だということがすぐにわかった。

お化け屋敷に入る前も顔が引きつっていたからきっと苦手なんだろうと思ったけれど、奏葉の反応が面白いからついちょっとだけからかってやりたくなった。

まぁ、少しやりすぎだったみたいだけど。


「じゃぁ、次はそわが乗りたいやつを決めろよ」

そう言うと、奏葉が一度俺の顔を見上げてすぐに俯いた。

そして、もごもごと小さな声で何か言う。


「コーヒーカップ、とか?」

奏葉の言葉に思わず吹き出す。


「てか、お前。それは子どもの乗り物だろ」

俺が腹を押さえてけらけら笑っていると、奏葉が真っ赤になって頬を膨らませた。


「私は穏やかな乗り物が好きなの!大人だから」

顔を真っ赤にした奏葉が、「大人だから」というところを強調する。