外へ出て上を見上げると、そこはさっき入ったばかりのお化け屋敷の入り口だった。

外の明るい光が顔に当ったとき、真宏が私の顔を見て吹き出すように笑った。


「お化け屋敷に入ってこんなに怖がってるやつみるの初めて」

最初は吹き出す程度だった真宏は、次第に腹を抱えて笑い出す。


「うるさい!」

真宏があまりに笑うので、私は何だか恥ずかしくなって顔を真っ赤にしながら彼を怒鳴りつけた。

耳まで真っ赤にしている私を見て、真宏かようやく笑うのをやめる。


「あぁ、涙出てきた」

真宏はそう言うと、笑いすぎて滲んできたらしい涙を指先で拭った。


「そんなに怖いならもっと早く言えよ」

「言ったけどあんたが聞き入れなかったんでしょ?」

恨めしげに真宏を睨む。

真宏は私の頭の上にぽんと手の平を軽くのせると、怒る私を宥めるように笑った。

その笑顔がお化け屋敷の暗がりの中でぼんやりと見えた真宏の優しい笑顔と重なって、不覚にもドキリとしてしまう。

真宏相手に、こんなのおかしい。

私は胸にふと湧いた変な感情を掻き消すように、頭にのせられた彼の手を乱暴に振り払った。