「じゃぁ入ろうぜ」
真宏に腕を引っ張られながら、お化け屋敷の中に足を踏み入れる。
中に入った瞬間、シューッと白っぽい煙のような冷気が顔にかかって私は大きな悲鳴を上げた。
「いやぁ!嘘っ!お化け屋敷、ほんとは怖いの!もう出ようよ!!」
私は一歩中に足を踏み入れたその瞬間から襲い掛かる恐怖に耐え切れず、目をつむって耳を押さえながらその場にしゃがみ込んだ。
怖い……怖い……怖い……
怖い……!!
小さくなってしゃがみこんでいると、耳を塞いだ両手に温かいものがそっと触れた。
そしてそれが、私の両手をそっと耳から引き離す。
恐る恐る目を開けると、真宏が私と同じ目線の高さでしゃがんでいた。
「わかった。ごめん、そわ。すぐに出よう」
暗がりの中でぼんやりとしか見えなかったが、真宏が優しく笑っているような気がした。
真宏が私の腕を引いてゆっくりと立ち上がらせる。
そして、私をお化け屋敷の外へと導いた。