「こ、これはちょっと……やめた方がいいんじゃないかな……?」
後ずさりをしようとする私を、腕を掴んだままの真宏が元の場所へと引き戻す。
「何で?俺、これがいい!」
私達が立っているのは、お化け屋敷の前だった。
入り口からして既に暗くて、何だか妖しい冷気が漂ってくるような気がする。
「私はいいから、一人で行ってきていいよ?」
私が笑顔を引きつらせると、真宏が不服そうに頬を膨らませる。
「は?何で?一人で入ったっておもしろくないだろ」
「で、でも……」
「そわ、もしかしてお化け屋敷苦手?」
なかなか首を縦に振らない私を見て、真宏が意地悪く笑った。
「ち、違います!お化け屋敷なんて作り物だってわかってるし!べ、別に全然怖くなんか……」
真宏にバカにされているような気がして、私はつまらない意地を張ってしまった。
それを聞いた真宏は、まだ意地悪くにやにやと笑ったままでいる。