落ちる瞬間、私は目を閉じて歯を食いしばった。
隣にいるはずの真宏の悲鳴が、はるか遠くに聞こえる。
私は前にある安全バーを汗が出るほど必死で掴みながら、拷問のようなそのスピードと揺れに耐えた。
「おもしろかったなぁ。もう一回乗る?」
乗り物から降りてふらついた足取りの私に、真宏が笑顔で尋ねる。
私が青ざめた顔でぶんぶんと首を横に振ると、真宏が残念そうな顔をした。
一回でも死ぬかと思ったのに、二回も乗るなんて絶対にありえない。
「じゃぁ、次行こう」
まだジェットコースターの悪い余韻が残っている私の腕を、真宏が強引に引っ張っていく。
「そわ!俺、次これがいい!」
さんざん私の腕を引っ張りまわした末に立ち止まった真宏が指差したアトラクションを見て、私の身体が凍りついた。
「こ、これ……?」
アトラクションの前で何度も瞬きをする私の前で、真宏が満面の笑みを浮かべる。