「でも、受付のお姉さんにはカップルに見えたのかもな。夏休み期間中はカップルで観覧車に乗ると半額になる、って言ってこんなチケットくれたし」

真宏が手元の割引券をひらひらとちらつかせる。

私が本気で睨むと、真宏は小さく肩を竦めた。


「じゃぁ、初めは何乗る?俺、ジェットコースターがいい」

真宏は遊園地のガイドブックを一通り見てから、かなりレールが長いように思われるジェットコースターを指差した。

ジェットコースターの乗り場は入り口から一番離れているはずなのに、それに乗る人たちの悲鳴がとても鮮明に耳に届いてくる。


「え?ジェットコースター?」

思わず顔が引きつる。

そのことに気付いていない真宏は、私の腕を掴むと一直線にジェットコースターの乗り場に走り出した。

そして、一時間待ちと書いてある列の最後尾に並ぶ。