「誰って……茉那や森宮くんとは遊園地の入り口で待ち合わせ?」
ちょうどそのとき、電車がホームに入ってきた。
「あ、来た。これ乗るから」
真宏に促され、彼からの返答を聞く前に強制的に電車に乗せられる。
電車のドアが閉まる。
それと同時に真宏が言った。
「誰も誘ってないけど?行くのは俺とそわの二人だけ」
「は?」
思考回路が、一瞬完全ストップする。
顔を引きつらせる私の目の前で、真宏がにやりと笑った。
「降りる!」
次の駅でいい。そこから引き返そう。
電車の中にも関わらず大声をあげて閉まったドアを振り返ると、真宏が私の肩をぽんぽんと叩いた。
「残念。これ、急行。遊園地がある駅の二つ前までノンストップ」
遊園地のある駅の二つ前までは、ここから約三十分。
そこで降りて引き返すと、家に帰り着くまでに往復で一時間はかかる。
一体何なのよ!?
私はにやにやと笑う真宏を恨めしげに睨みつけた。