「そわ!入るぞ」
      
部屋の外から真宏の声が聞こえて、私はベッドの上で寝返りを打った。

うつむけから仰向けの姿勢になり、視線だけをドアの方に向ける。


「お前、だらけすぎ」

真宏は私の部屋に入ってくるなり、眉を顰めた。


「何の用?」

不機嫌な声で答えると、真宏はにやにやと笑いながら私が寝そべっているベッドの方へ近づいてきた。


「何?今日は遊びに行かないの?」

寝そべったまま、怪訝そうな目で真宏を見上げる。

そして嫌味っぽい声で尋ねた。


夏休みに入ってから、真宏は毎日朝早くからどこかへ出かけて夕方遅くに帰ってきているようだ。


私が憂鬱な気持ちで夏休みを過ごしているというのに、真宏は呑気に遊びまわっているのかと思うと無償に苛立つ。


「人を遊び人みたいに言うなよ」

苛立っている私をよそに、真宏がへらへらと笑う。


「だってそうでしょ」

その薄ら笑いが、また私を苛立たせた。

寝返りを打ち、真宏に背を向ける。