せっかく夏休みに入ったというのに、私はため息ばかりついていた。

夏休みの宿題をするために机に向かうものの、毎日少しも手につかない。


そういえば、終業式の日に蒔田から渡された天体観測の日程にもまともに目を通していない。

行きたい日があれば蒔田に連絡をするはずだった。

でも、夏休みの宿題も、蒔田と交わした約束も今の私にはどうでもよかった。


私はベッドにうつむけに寝そべると、スマホを掴んだ。

そして、ストラップ代わりにそこにつけてあった星のキーホルダーのことを思い出す。

キーホルダーが取れた私のスマホは、今までとは違う全く別のものに見えた。

また、深いため息をつく。


ママがいなくなった中一の夏、私を襲っていた脱力感が再び私に襲い掛かっていた。

星のキーホルダーは、私にとってママと同じくらいの重みがあったのだ。

星のキーホルダーを失くした私は、一緒に気力をも失くしてしまっていた。