「悪いけど俺、お前と付き合う気なんてないから」

冷たくそう告げると、若菜が唇を噛みながら今にも泣きそうな顔をする。

上目遣いで俺を見上げる彼女の目には、涙が溜まっていた。


「そんな顔しても無駄だから」

俺は小さくため息をつくと、若菜から取り返した星のキーホルダーをポケットに入れた。

             
「言っとくけど、もう二度とそわには近づくな。もし今後あいつを傷つけるようなことしたら、お前のこと絶対赦さねぇから」

俺は強い口調で若菜に釘を刺す。


「どうして?そんなに月島さんのこと大事なの?あんな無愛想で冷たい子のどこがいいの?あたしのほうが絶対に――……」

「あいつが大事とか、好きとか、そういうことじゃない」


「じゃぁ……」

どこまでも食い下がってくる若菜を見おろしてため息をつく。


「どうしてお前が今頃俺に執着してくるのか正直わかんねぇよ」

「それは前に言ったでしょ?別れてから、真宏の大切さに気づいたって」