突然俺に抱きしめられた若菜は、俺が本当に誘いにのるとは思っていなかったのか、戸惑ったように肩を震わせた。


「真宏……」

だけどそれはほんの一瞬だけで、すぐに甘えた声で俺の名を呼ぶ。


若菜は俺の耳元から唇を離すと、上目遣いで俺を見上げた。

誘うような目で見つめてくる若菜の顎を指先で捕らえると、俺は彼女の望み通り、目を閉じて唇にキスを落としてやった。

一度唇が触れると、それをすぐには離すまいと若菜が強く唇を押しつけてくる。


「ん……」

甘い吐息をもらしながら、若菜が俺の首に強くしがみつく。

噛みつくように激しく求めてくる若菜のキスを受けながら、俺の頭はひどく冷めていた。

こんなことしたって、奏葉の心の痛みが消えるわけじゃない。

それでもこうすることでちょっとでも償えるなら……


若菜のキスに応えながら、俺はゆっくりと彼女のスカートに手を伸ばした。