「ねぇ、真宏の探しものってさぁ」

若菜が俺に笑いかけながら、スカートのポケットを探る。


「もしかして、これのこと?」

彼女はポケットから何かを取り出すと、それを俺の前でちらつかせた。

若菜の手元で鈍く光るそれを見てはっとする。


若菜が手にしていたのは、奏葉が……

そして俺が探し続けていた星のキーホルダーだった。


「どうしてお前が?」

若菜の持つキーホルダーに手を伸ばすと、彼女は俺の前からそれをすばやく退けた。

そして、にっこりと俺に微笑みかけてくる。


「さぁ?どうしてでしょう?」

含みのこもった若菜の笑顔が俺を苛立たせた。


「返せよ!」

苛立ち紛れに手を伸ばしてもう一度星のキーホルダーを奪おうとしたが、若菜がすばやく立ち上がってしまい、俺の手のひらが空をつかむ。

地面に座り込む俺から数歩後ずさった若菜が、キーホルダーを背中に隠す。


「どうして真宏に返さなきゃいけないの?これは月島さんのでしょ?」

「それでも返せ!」