哀しそうな若菜の瞳に、ちょっとだけ罪悪感を感じてしまう。

すぐに彼女から視線を反らすと、俺は花壇と向き合ってキーホルダー探しを再開させた。

花壇の中を無心に探っていると、若菜が隣に来てしゃがむ。


「何してるのぉ?」

俺の顔を横から覗き込んできた若菜がにこりと笑う。

振り向くと、彼女の短いスカートからわざとらしいくらいむき出しになっている太腿が目に飛び込んできた。

気まずくて視線を反らすと、俺が見ていたものに気付いた若菜が身体を摺り寄せてくる。


「ね。何してるの?」

「探し物」

そっけない声で答えて、若菜から数歩離れる。


「ふぅん」

若菜は太腿に肘をつくと、頬杖を付きながら俺の横顔をじっと観察していた。


「部活終わったならさっさと帰れば?」


見られていることがだんだんうっとおしくなってきて、若菜を睨む。

だけど彼女は、なぜか俺を見てにっこりと笑った。