★★★
夏休みに入って一週間が経つ。
それなのに俺は、さっきからずっと学校の花壇の前にしゃがみ込んでいた。
校庭からは運動部の掛け声が響いてくる。
真夏の太陽に照りつけられている俺は、顔をあげると腕で額の汗を拭った。
夏休みに入ってから、奏葉はずっと元気がない。
一日中部屋にこもりっきりで、食事のときぐらいしか部屋から出て来ない。
カオルさんたちはすごく心配していたが、奏葉が元気のない理由を知っているのは俺だけだった。
奏葉が元気がないのは、ずっと身につけていた星のキーホルダーをなくしてしまったからだ。
奏葉がキーホルダーを失くしてしまった原因が自分にもあると感じている俺は、夏休みに入ってから毎日、学校にそれを探しにきていた。
なくなって日にちが経てば経つほど、見つけるのは難しい。
それはよくわかっていたけれど、それでも俺は毎日欠かさず学校へ通いつめていた。