「奏葉、大丈夫なの?」
茉那の手には奏葉のスクールバッグを抱えられている。
その荷物の中に奏葉のスマホもあったが、彼女がいつもつけていたはずの星のキーホルダーは確かに見当たらなかった。
星のキーホルダーが消えてしまった奏葉のスマホを見つめていると、茉那が近づいてきてソファの下にスクールバッグを置いた。
「奏葉の荷物、ここに置くね」
「あぁ」
俺が茉那を見上げて頷いたとき、彼女の眉がぴくりと引きつるように動いた。
茉那の視線が一点に集まる。
それが奏葉と繋いでいる俺の手だということに気付くと、俺は慌てて彼女の手を離した。
奏葉と手を繋いでいたことを茉那に見られたことがやけに恥ずかしくて、勝手に頬が熱くなる。
「あぁ、これはちょっと。成り行きで……」
そんな俺を、茉那がどことなく悲しそうな目をして見つめた。
それでつい、悪いことをしたわけでもないのに、茉那への言い訳の言葉を探してしまう。