私が無視をし続けていると、若菜は机の上に置かれた私のスマホに気付きそれを手に取った。
「何これぇ」
私が顔を上げると、若菜がスマホにつけてある銀の星のキーホルダーを指先で触っていた。
「返して!」
それに気付いた私は、思わず取り乱して余裕のない声を出してしまう。
私の慌てた様子を見た若菜が、星のキーホルダーを指で弄びながらにやりと笑った。
そのときになって初めて、取り乱した自分に後悔した。
若菜はスマホにつけられた星のキーホルダーが、私にとって何か意味のあるものだと気がついたみたいだった。
「月島さん、ちょっとこれ見てもいい?」
若菜が勝手にスマホと繋がった星のキーホルダーのチェーンの鎖を外す。
「ダメ……」
喉から絞り出すような声でそう言ったけど、そのときにはもう手遅れだった。