私は小さく頷くと、手渡されたプリントに視線を落とした。


七月と八月のカレンダー。

そこには天体観測の時間や場所が丁寧に記載されていた。


「興味があったらおいでよ。少し場所が遠いときもあるから、そのときは迎えに行くし」

「迎え?」

首をかしげると、蒔田が笑った。


「うん、一応バイク持ってるから」

「へぇ」

蒔田がバイクに跨っている姿があまり想像できず、私はぽかんと口を開けて彼を見上げた。


「委員長、意外に不良」

思わず私の口からそんな言葉が漏れる。

それを聞いた蒔田が眉を寄せて苦笑した。


「ここに俺の電話番号書いとくね。参加したいときは事前に電話もらってもいいかな?」

「あぁ、うん」

私が頷くと、蒔田がプリントの端に丁寧な字で数字を書き連ねた。


「ありがとう。また電話させてもらうかも」

私がそう言うと、蒔田は笑って私の前から立ち去った。