「お前、俺のことを完全に敵とみなしてるだろ?」

俺が尋ねると、奏葉は振り返りもせずに言った。


「どう考えても味方じゃないことは確かでしょ?」

このまま彼女に話しかけていても会話は平行線を辿るだけだ。

そう思った俺は、奏葉の隣に腰を落とした。

奏葉は俺を気にかける様子もなく、花壇に生えた雑草を無心に抜いていた。


「これから咲くのは朝顔と向日葵?」

地面から顔を出して並ぶ芽を見て、俺はそれらが小学生のときに育てた植物に似ていると思った。


「そう」

俺の読みはあたっていたようで、奏葉が作業の手を休めることなく短く答える。


「この花壇、そわが手入れしてたんだな。初めて見たとき、てっきりカオルさんが手入れしてるのかと思った」

何気なくカオルさんの名を口にしたあとで、俺ははっとして唇を閉ざした。