「茉那、どうかした?」

肩に手を乗せようとすると、茉那の体がビクリと怯えるように揺れた。


「茉那?」
          
途方にくれていると、奏葉が皮肉っぽく唇を歪める。


「あんたのせいなんじゃない?」

奏葉が含みをこめた声でそう言った。


「茉那、帰ろ」

奏葉が茉那に肩に手をのせる。

奏葉が茉那の肩に手を置いても、彼女は怯える様子はなかった。


茉那が下を向いたまま小さく頷く。


俺が何かしたんだろうか。

茉那の手を引き、俺から遠ざかっていく奏葉。

二人の背中をただ黙って見送る。


誰の気持ちにも気付いていなかった俺は、ただ訳がわからず首を傾げることしかできなかった。