「真宏さ、奏葉ちゃんのこと好きなんだろ?素直にそれを認めたら、俺は毎日だってお前の奏葉ちゃんの話を聞いてあげるよ?」

調子に乗って言葉を続ける拓馬を、俺は強く睨んだ。


「は?だから、そんなんじゃないって前から言ってんだろ」

少し苛立って、口にする言葉が刺々しくなる。


「でも、最近やたらと気にしてるじゃん。奏葉ちゃんが倒れたときだって、付き添って家まで帰ったりしたんだろ?」

俺が怒っていることがわかっていて、拓馬はニヤニヤと頬を緩ませたままだ。


「それは、一応同じ家に住んでるから当然の義務だろ。放っとけるかよ」

突き放すようにそう言うと、拓馬が意地悪く唇の口角を引き上げた。


「放っとけない、かぁ。それってつまりは好きってことなんじゃねぇの?そうじゃなくても、奏葉ちゃんのこと相当意識してるってことじゃん」

どこまでもからかい口調で問いかけてくる拓馬の相手をしているのが、だんだんとバカらしくなってきた。

拓馬を睨むと、彼に背を向ける。

それでもしつこく何か言ってくるから、拓馬をそのまま無視し続けることにした。