「真宏、最近奏葉ちゃんの話多くない?」

机に肘をついた拓馬が、呆れ顔で俺を見てくる。


「は?そんなことねぇよ」

俺はただ、奏葉が茉那のことを友達として本気で大事に思っていることを知って嬉しくて、そのことを拓馬に伝えたかっただけだ。

奏葉が同じクラスにいれば茉那は安心だ。

そう言いたかっただけ。

それなのに、奏葉の話が多いとは心外だ。

そんなのまるで、俺が奏葉のことを気に掛けてるみたいじゃねぇか。


「俺は率直な感想を言っただけなんだけど」

不機嫌そうな顔を向けると、拓馬も不満そうに頬を膨らませる。


「茉那が心配ないってことはよくわかったけどさ。最近の真宏、聞いてもないのに奏葉ちゃんの話ばっかしてくんだもん。奏葉ちゃんがカオルさんのメシ食ったとか、今日学校に来る途中の奏葉ちゃんがどうだったとか」

そして、唇の端を高く持ち上げると悪戯っぽく笑った。


「カオルさんの話題より、奏葉ちゃんの話題の方が断然多いよ?」

「は?そんなことないだろ?」

俺がムキになって反論すると、拓馬がニヤニヤと意味ありげに笑う。