「何よその顔?」

気を悪くした私は、目を細めて真宏を睨む。


「いや、お前って意外といいトコあるんだなぁと思ってさ」

見直したというような口調で言われ、私はますます気を悪くした。


「友達だったら当たり前だし……」

ぶっきらぼうな声でつぶやく。


そんな私を見て、真宏は気持ち悪いくらいニヤニヤとしていた。


何だか居心地が悪くなって、真宏を残して歩き出す。

濡れた靴が、相変わらず嫌な音をたてている。

ただでさえ不快なのに、真宏のにやけた笑みがいつまでも私の脳裏に付き纏って、それがなかなか離れなかった。