「別に。他人のことでいちいち目くじら立ててるあんたがバカみたいだなぁと思っただけ」
「は?人が心配してやってるのに、ムカつく女だな」
私の言葉にますます気を悪くした真宏は、私を睨みながらぶつぶつと文句を言っていた。
「ねぇ」
ひとり言の様に文句を言っている真宏の横顔に声を掛ける。
真宏は私から声を掛けられると思っていなかったらしく、不意を付かれたように驚いて私を振り返った。
「中学のときに茉那を助けたのは、あんたが“浮いてる”人間を放っておけないおせっかいだから?」
振り返った真宏が何か言う前に、彼に尋ねた。
私の問いかけに、真宏は眉根を寄せて怪訝そうな顔をする。
「何の話?」
「東堂 若菜が言ってた。あんたは、“浮いてる”人間を放っておけないタイプだって」
「若菜が?」
真宏は意味がわからないといった風で、眉間に皺を寄せながら私の顔をじっと伺うように見つめた。