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放課後、私は茉那に先に帰ってもらって天文部の部室へと向かった。

ノックして教室のドアを開くと、机で何か書いていた蒔田 光輝がゆっくりと振り返った。


「あぁ、月島さん。来てくれたんだ?」

振り返った蒔田が、にっこりと私に笑いかける。

それに応えるように、私も小さく会釈した。

部室には蒔田の他に五人ほどの部員がいて、それぞれ本を開いて何かを書いている。


「今、観察レポートを書いてるんだ」

私がドアの前に突っ立っていると、蒔田が近づいてきて言った。


「蒔田先輩、彼女ですか?」

後輩らしい男子生徒がニヤニヤと笑いながら蒔田に声を掛けてくる。


「バカ。クラスメイトの月島さん」

蒔田は苦笑いを浮かべると、私の方に向き直った。


「今日はどうしたの?」

首をかしげる蒔田に、私は一冊の本を差し出した。