「真宏って困ってる子っていうか、浮いてる子?そういう子を放っとけないタイプみたい」
若菜がにっこりと笑う。
その瞬間に、若菜の後ろ隣に立っていた茉那の顔が引きつるように強張った。
私は舌打ちしたくなるのを堪えながら、わざとらしい笑顔を向ける若菜を真っ直ぐに見つめた。
笑顔を崩さないまま若菜が言葉を続ける。
「優しいよねぇ」
それから若菜は、顔を引きつらせている茉那を振り返った。
「茉那も中学のとき真宏に助けてもらったことがあるんでしょ?真宏や茉那と同じ中学だった友達に聞いたよぉ」
「あ……」
茉那の引きつった顔が、今度は今にも泣き出しそうに歪んだ。
私は何と言われても構わない。
でも、茉那にとってそれは今も辛い過去なのだ。
自分で言うならまだしも、他人から言われるとどれだけ傷つくか。