教室に入ると、私はやっと安心して息をついた。
今朝は起きたときから散々だった。
目を覚ますとどういうわけだかわからないが真宏がベッドの傍に座って眠っているし、そのことで彼に想いを寄せているらしい春陽には誤解されそうになるし。
それなのに、真宏は私が怒っていることを明らかにわかっていて、学校までの道を私にぴったりとついてきた。
学校まで私についてくるのはいつものことだが、うっとおしいからいい加減に辞めてほしい。
せっかく久しぶりにママの夢を見たのに……
それが真宏のせいでぶち壊しだ。
ママと手を繋いでいる夢を見た。
朝起きたとき、手の平が温かかった。
その温もりを思い出して、手の平を何度も握ったり開いたりする。