「部屋の電気をつけたまま寝てたから消してやったんだよ。寝ぼけて俺の手を離さなかったのはお前だろ」

わざと意地悪くそう言うと、奏葉の頬がぱっと赤く上気する。

その勢いのよさが面白くて、思わず吹き出しそうだった。


「そわが全然離してくれないから、朝からすげぇ体痛い」

からかうように言うと、奏葉はますます顔を赤くした。


「は?何言って……」

奏葉のことをからかっていると、ドアが開いて春陽が部屋に入ってきた。


「お姉ちゃん、まぁ君。朝から何騒いでるの?」

春陽が怪訝そうに眉を寄せる。


「何でもないよ。そわが俺のことを一晩中部屋に返してくれなくて、困ってただけだから」

俺が冗談交じりに言うと、春陽の顔が一瞬にして強張る。


「え……」

「ちょっと、あんた何でたらめ言ってんのよ。春陽!違うから!!」

奏葉が慌てた声で言いながら、春陽の腕を引いて廊下へと連れて行く。

俺はそんな彼女の態度が面白くて、部屋の中で声を堪えて笑い続けた。