唇を歪めて笑いながら、侮蔑のこもった目で真宏を見つめる。

そんな私の体が、不意にふわりと揺れた。

一瞬だけ体が浮くように揺れたあと、温かい何かに体全体が受け止められる。


「関係ないけど、言っただろ?もうお前のこと放っとかないって」

何が起こったのかわからずにいる私の耳元で、真宏のささやく声が聞こえる。

顔を上げると、すぐ傍に真宏の顔があった。

気づくと、身体を真宏の腕に抱きしめられている。

それに気づいた瞬間、反射的に顔が熱くなった。


「ちょっと、離して!」

真宏の腕から逃れようと暴れる。

だが、彼の力の方が強くて私の思い通りにはならなかった。


「今ここでパンとジュース食って、俺と一緒に家に帰るって約束するなら離す」

私を腕の中に押さえつけたまま真宏が言った。


「何であんたにそんなこと強制されなきゃいけないのよ?さっさと離して。私のことは放っといてって何度も言ってるでしょ!」