「ぶっ倒れてさっきまでずっと眠ってたくせに、一人で帰って大丈夫なわけないだろ!」

「そんなことあんたには関係ないでしょ?」

強がってすぐに反論したけれど、真宏のきつい口調に押されてその声は小さくなる。

すると、真宏が私を睨みながら静かな声音で言った。


「あぁ、確かに関係ないよ。お前がどうなったってな」

それを聞いた私は、唇をほんの少し歪めて笑った。

どうせ今言ったことが真宏の本音なのだ。


「じゃぁ、私のことなんて放っておけばいいでしょ?」

唇に笑みを浮かべながら、自嘲気味に言う。


あの女のために私のことを構うなら、放っておけばいい。

  
あの女と関わりあう人間は、
  
あの女のことが好きな人間は、


みんな嫌い。



みんな私の敵だ。