保健室のドアに手をかけたとき、真宏が私の手首を掴む。
「待てって。一人で帰ってまた倒れたらどうすんだよ?」
振り返ると、真宏が怒った顔で私を見上げていた。
真宏の顔は怒っているのに、見上げてくるその目は真剣そのもので、どう反応すればいいのかわからなくなる。
私は真宏の目から視線を反らすと、再び彼に背を向けた。
「離して。いつか言ったはずだけど。私、あんたのことが嫌いなの。だから放っといて」
「そわ!」
真宏が掴んでいた私の腕を強く後ろに引いた。
「ひゃっ」
思わず悲鳴のような声が喉から漏れる。
真宏は私を彼の方へ向き直らせると、私が彼に背を向けることができないように両手首を強い力で掴んだ。
突き刺さりそうなほどに鋭い真宏の眼差しが、私へと真っ直ぐに注がれる。
「いい加減にしろよ!」
真宏がきつい口調で怒鳴った。