「へぇ。余計なことしなくていいのに」
真宏の神経を逆撫ですることがわかっていて、私はわざと突き放すような言い方をした。
案の定、気を悪くした真宏が私を睨むように見つめる。
「は?人が心配してやってるのに。何だよその言い方」
私は真宏の側に歩み寄ると、彼の足元に置いてあったスクールバッグを掴んで肩にかけた。
そして、手に持っていたパンとジュースを真宏の方へ突き出す。
「これ。あんたが置いたなら返す」
「は?」
真宏が目の前に突き出されたそれらと私の顔を、苛立った顔付きで交互に見比べた。
「何だよ、その態度?相変わらず可愛げのない女だな」
「あんたには関係ないでしょ。心配してくれなんて、頼んだ覚えはない」
自然と眉尻が上がり、ついついそんな言葉が口をついて出る。
私は真宏に背を向けると、保健室を出て行こうとした。