「お、やっと目ぇ覚ましたか」

カーテンを開くと、保健室の中ほどにある休憩スペースに真宏が座っていた。

真宏が私を振り返って、にっこりと笑う。


「さっきまで茉那もここにいたんだ。すげぇ心配してたから、あとで連絡してやれよ」


カーテンを開いた格好のまま呆然と立っている私に真宏が言った。


「歩いて帰れそう?一応、お前の鞄ここまで運んできてるけど」

「あんた、ここで何してんの……?」


「あ、でもその前にそれ食ってから帰れよ。ちゃんとメシ食わないから貧血になんてなるんだよ」

真宏は私の問いかけには答えず、私が手にしているパンとジュースを指差した。


「ここで何してんのって聞いてるんだけど」

私がもう一度そう言うと、真宏が顔をしかめた。


「は?お前が倒れたって聞いたから、家まで連れて帰ってやろうと思って迎えに来てやってるんだけど」

真宏の声があからさまに低くなる。