目を開けた。

その瞬間視界に入ってきたのは、少し汚れた薄いベージュ色だった。

それが天井なのだと、脳が認識するまでに数秒かかる。

私は真っ白なシーツと真っ白な掛け布団が敷かれたベッドの上に横たわっていた。

頭を動かすと、耳のすぐ側で何かが擦れる音がした。

頭を少し上げて見ると、枕元にパンと紙パックのジュースが置いてある。


ベッドに手をつき体を起こすと、その瞬間、脳みそが締め付けられるみたいに頭がキィーンと痛む。

その痛みを消すように、頭を手の平で強く抑えた。

締め付けられるような痛みが消えると、私はゆっくりと首を動かして辺りを見回す。

耳を澄ますと、外から聞こえてくるランニングの掛け声。

それは放課後校庭を走る、運動部員たちの声だった。


ようやく、頭がはっきりと冴えてくる。


ここは保健室。

そして外から聞こえてくる声からして、今は放課後らしい。