「寝てんのか。焦って損した」

奏葉の横顔を見つめてつぶやく。

しばらくのまま眺めていたけれど、奏葉はそう簡単には目覚めそうもなかった。


俺は立ち上がると、奏葉の枕元に買ってきたパンとジュースを置いた。


斜め上から彼女の横顔を見つめながら、口角を上げる。



「もうしばらく寝かせとくか」


俺はそっとカーテンの外側に出ると、奏葉を起こさないように静かに保健室を後にした。