保健室の右奥には、ベッドが三つ並べられている。

そのうち一つは使用中であることを示すように、周りにきっちりとカーテンが引かれていた。


俺は保健室の中に上がりこむと、カーテンの隙間からベッドの中を覗き込んだ。

カーテンの隙間から、ベッドに横たわって目を閉じている奏葉の白い顔が見える。

俺はカーテンの内側に勝手に入り込むと、ベッドの脇に立った。

そこに立つと、奏葉がたてる小さな寝息が聞こえる。

俺は一旦カーテンの外側に出ると壁に立てかけてあったパイプ椅子を一つ持って、再びカーテンの内側に戻った。

眠っている奏葉を起こさないように、ベッドの脇にそっとパイプ椅子を組み立てる。

きぃと少し椅子の軋む音がして焦ったが、ぐっすりと眠っている奏葉はその程度の音では目を覚まさなかった。