奏葉が目を細めて横目に俺を見ながら、耳元にある俺の顔を手で払いのけようとする。

乱暴に振りかざしてくるその手を避けながら、俺は奏葉に言った。


「カオルさんの親戚って事実は消せないけど、カオルさんの味方はやめる」


首を傾げながら、奏葉が怪訝そうに顔を顰める。

そんな彼女の耳元に、俺は強い意志を持ってささやいた。


「だから俺、放っとかないから。そわのこと」


「は!?」


少し間を空けて返ってくる、怪訝そうな奏葉の声。


それを無視して、俺は玄関のドアを開けた。