俺はカオルさんの横をすり抜けると、真っ直ぐに玄関へと向かった。
そのまま靴に履き替え、玄関のドアを開ける。
「まぁ君?」
二階から降りてきた春陽が俺を呼び止める。
でも振り返る余裕などなく、俺は玄関を飛び出していった奏葉の背中を追った。
玄関を出て駆け出した俺は、すぐに奏葉に追いついた。
「おい!どこ行くんだよ?」
奏葉の背中に呼びかける。
だが彼女は、俺の言葉を無視してどんどんと進んで行く。
「おい!待てって」
俺は奏葉の腕を掴むと、彼女の腕を強く引いた。
奏葉が立ち止まり、腕を引かれた反動で俺の方を振り返る。
「離して」
奏葉が俺に冷たい視線を向ける。
「離したらどこ行くんだよ?」
その冷たい視線に負けないように、俺も彼女を睨む。
「あんたには関係ない」
奏葉は素っ気ない声でそう言うと、俺の手を振り払ってまた歩き始めた。
「そわ!」
すぐに俺も歩き出した奏葉の背中を追う。